【EtherChannelについて】


このHPはEtherChannelについてまとめた ものです。


1-1 EtherChannel

多くのトラフィックが集中するキャンパスネットワークの バックボーン付近では、膨大なトラフィックに耐えうる広帯域の メディアを必要とする。
そこで、複数のイーサネットリンクを複数束にして、 上位層からはあたかも「1本の太いリンク」に見せかける技術を「EtherChannel」 と呼ぶ。EtherChannelを利用することによって、次のメリットが得られる。


●帯域幅の増加

●耐障害性の向上


複数の物理リンクを論理的なポートにまとめることによって、利用可能な帯域幅を増加させ、物理的なリンク上でフレーム転送の負荷分散を行うことができる。
なお、EtherChannelはCisco独自の用語。一般的にはリンクアグリゲーションという。

Fast Ethernetで行うEtherChannelを「FEC(Fast EtherChannel)」 、Gigabit Ethernetで行うEtherChannelを「GEC(Gigabit Etherchannel)」 という。

EtherChannelでは、複数の物理的なファースト イーサネット リンクを 1 つの論理チャネルに統合できる。これにより、 チャネル内のリンク間でのトラフィックの ロード シェアリングや、チャネル内の 1 つ以上のリンクで障害が発生するイベントでの冗長構成 が可能になる。

またEtherChannelが接続されるスイッチのポートは、仮想的にレイヤ2インターフェイスとしてもレイヤ3 インターフェイスとしても構成することができる。

以下の図は、同一筐体間で、4本のファーストイーサネット リンクを張っている例。





このような構成では多数のループが発生するため、スパニングツリープロトコル(STP)が動作してしまい、 結果として複数のリンクがあっても、どれか1本のみアクティブになるだけで 400Mbpsの帯域をつくっているわけではない。そこで以下の様にFECを設定する。







上図の様に、4本の100Mリンクは1つの400Mリンクで あるという設定が「チャネル」。 現在ではファーストイーサネットで構成するのが一般的。



1-2 EtherChannelの制約事項

EtherChannelを構成するためには、いくつかの制約事項がある。 以下の要件を満たしている状況でなければ、正しくEtherChannelを構成す ることができない。

●ダイナミックVLANは使用不可能

●ポートセキュリティは使用不可能

●EtherChannelに含まれる全てのポートは、 全てが同じ速度、同じduplexで設定されなければならない。

●SPANのあて先ポートを EtherChannelに含めることはできない。

●アクセスリンクとして構成する場合、 EtherChannelに含まれる全てのポートが、同じVLANにアサインされている必要がある。

●トランクリンクとして構成する場合、 EtherChannelに含まれる全てのポートが、同じ設定モード、同じタグ付けプロトコル、同じVLANの 許可範囲が設定されなければならない。



1-3 EtherChannelのネゴシエーションプロトコル

2台のスイッチ間でEtherChannelをネゴシエートすることで、リンクを動的に設定することができる。 Catalystスイッチでは、バンドルされるリンクのネゴシエーションに次の2つのプロトコルを使用することが できる。

●PAgP(Cisco独自)
●LACP


【PAgP】

PAgPは、Cisco独自のプロトコル。
このプロトコルではPAgPパケットが、EtherChannel対応ポートを 経由してスイッチ間で交換されて、隣接スイッチが識別されるほか、 ポートグループの能力の学習とローカルスイッチの能力の比較が行われ、 近隣デバイスIDと近隣グループ機能が同一のポートを1つのチャネルにグループ化する。

PAgPでは、同じスタティックVLANまたはトランキングが 設定されたポートだけで、EtherChannelを形成する。 また、バンドルされたポートの1つが変更されると、EtherChannelのパラメータを 動的に変更する。

channel-groupコマンド で設定されるチャネルの動作モードが auto(デフォルト)、もしくはdesirable に設定されている場合、隣接スイッ チと交換される。onは強制的にチャネル設定を行うため、PAgPは使用しない。



【LACP】

LACPは、IEEE802.3adで定義されているPAgPの標準ベースの代替プロトコル。 このプロトコルでは、LACPパケットがEtherChannel対応ポートを経由して、スイッチ間で交換される。

PAgPはCisco独自のプロトコルであるため、他のベンダスイッチとの間で、リンクアグリゲーションのネゴシエーションを行うことができない。 他のベンダとのスイッチとの間で、リンクアグリゲーションのネゴシエーションを行うためには、LACPを利用する。

channel-groupコマンドで設定されるチャネルの動作モードがpassive(デフォルト)であれば応答のみ、activeであれば隣接スイッチへのネゴシエートパケット送信と応答を行う。

onとoffは強制的にチャネル構成を決定するためのモードなので、LACPは使用しない。



1-4 EtherChannelの設定

Layer2でEtherChannelを設定するには、Channelに含めたインターフェイスのインターフェイスコンフィグレーションモードで、次のコマンドを入力する。

(config-if)# channe-group【channel-groupナンバー】 mode { auto [ non-silent ] | desirable [ non-silent ] | on | active | passive }


Etherchannelを設定するときには、複数のポートを「range」コマンドを指定して、上記のコマンドを入力することが一般的。このコ マンドを入力すると、Port-channleインターフェイスが存在しない場合は、【channel-groupナンバー】で指定した番号のPort-channleインターフェイスが自動的に作成される。


Port-channleインターフェイスは、物理リンクをまとめる論理ポート。つまりこのコマンドで、物理インターフェイスをどのPort- channlインターフェイスに関連付けるかを指定する。

ローカルで物理リンクをまとめるだけでは、Etherchannelは正しく機能しない。対向のスイッチでもChannelを形成する必要がある。Catalystスイッチでは、スイッチ間で Etherchannelをネゴシエーションするために、デフォルトで「PAgP」を利用する。

以下にユーザーが設定できる Etherchannelモードを示す。