1-1 EtherChannel
多くのトラフィックが集中するキャンパスネットワークの
バックボーン付近では、膨大なトラフィックに耐えうる広帯域の
メディアを必要とする。 EtherChannelでは、複数の物理的なファースト イーサネット
リンクを 1 つの論理チャネルに統合できる。これにより、
チャネル内のリンク間でのトラフィックの
ロード シェアリングや、チャネル内の 1 つ以上のリンクで障害が発生するイベントでの冗長構成
が可能になる。 以下の図は、同一筐体間で、4本のファーストイーサネット
リンクを張っている例。 このような構成では多数のループが発生するため、スパニングツリープロトコル(STP)が動作してしまい、
結果として複数のリンクがあっても、どれか1本のみアクティブになるだけで
400Mbpsの帯域をつくっているわけではない。そこで以下の様にFECを設定する。 上図の様に、4本の100Mリンクは1つの400Mリンクで
あるという設定が「チャネル」。
現在ではファーストイーサネットで構成するのが一般的。 1-2 EtherChannelの制約事項
EtherChannelを構成するためには、いくつかの制約事項がある。
以下の要件を満たしている状況でなければ、正しくEtherChannelを構成す
ることができない。 1-3 EtherChannelのネゴシエーションプロトコル
2台のスイッチ間でEtherChannelをネゴシエートすることで、リンクを動的に設定することができる。
Catalystスイッチでは、バンドルされるリンクのネゴシエーションに次の2つのプロトコルを使用することが
できる。 PAgPは、Cisco独自のプロトコル。 channel-groupコマンド
で設定されるチャネルの動作モードが
auto(デフォルト)、もしくはdesirable
に設定されている場合、隣接スイッ
チと交換される。onは強制的にチャネル設定を行うため、PAgPは使用しない。 LACPは、IEEE802.3adで定義されているPAgPの標準ベースの代替プロトコル。
このプロトコルでは、LACPパケットがEtherChannel対応ポートを経由して、スイッチ間で交換される。
PAgPはCisco独自のプロトコルであるため、他のベンダスイッチとの間で、リンクアグリゲーションのネゴシエーションを行うことができない。
他のベンダとのスイッチとの間で、リンクアグリゲーションのネゴシエーションを行うためには、LACPを利用する。 channel-groupコマンドで設定されるチャネルの動作モードがpassive(デフォルト)であれば応答のみ、activeであれば隣接スイッチへのネゴシエートパケット送信と応答を行う。 onとoffは強制的にチャネル構成を決定するためのモードなので、LACPは使用しない。
1-4 EtherChannelの設定
Layer2でEtherChannelを設定するには、Channelに含めたインターフェイスのインターフェイスコンフィグレーションモードで、次のコマンドを入力する。 Etherchannelを設定するときには、複数のポートを「range」コマンドを指定して、上記のコマンドを入力することが一般的。このコ
マンドを入力すると、Port-channleインターフェイスが存在しない場合は、【channel-groupナンバー】で指定した番号のPort-channleインターフェイスが自動的に作成される。 Port-channleインターフェイスは、物理リンクをまとめる論理ポート。つまりこのコマンドで、物理インターフェイスをどのPort-
channlインターフェイスに関連付けるかを指定する。 ローカルで物理リンクをまとめるだけでは、Etherchannelは正しく機能しない。対向のスイッチでもChannelを形成する必要がある。Catalystスイッチでは、スイッチ間で Etherchannelをネゴシエーションするために、デフォルトで「PAgP」を利用する。
以下にユーザーが設定できる Etherchannelモードを示す。
そこで、複数のイーサネットリンクを複数束にして、
上位層からはあたかも「1本の太いリンク」に見せかける技術を「EtherChannel」
と呼ぶ。EtherChannelを利用することによって、次のメリットが得られる。
●帯域幅の増加
●耐障害性の向上
複数の物理リンクを論理的なポートにまとめることによって、利用可能な帯域幅を増加させ、物理的なリンク上でフレーム転送の負荷分散を行うことができる。
なお、EtherChannelはCisco独自の用語。一般的にはリンクアグリゲーションという。
Fast Ethernetで行うEtherChannelを「FEC(Fast EtherChannel)」
、Gigabit Ethernetで行うEtherChannelを「GEC(Gigabit Etherchannel)」
という。
またEtherChannelが接続されるスイッチのポートは、仮想的にレイヤ2インターフェイスとしてもレイヤ3
インターフェイスとしても構成することができる。
●ダイナミックVLANは使用不可能
●ポートセキュリティは使用不可能
●EtherChannelに含まれる全てのポートは、
全てが同じ速度、同じduplexで設定されなければならない。
●SPANのあて先ポートを
EtherChannelに含めることはできない。
●アクセスリンクとして構成する場合、
EtherChannelに含まれる全てのポートが、同じVLANにアサインされている必要がある。
●トランクリンクとして構成する場合、
EtherChannelに含まれる全てのポートが、同じ設定モード、同じタグ付けプロトコル、同じVLANの
許可範囲が設定されなければならない。
●PAgP(Cisco独自)
●LACP
【PAgP】
このプロトコルではPAgPパケットが、EtherChannel対応ポートを
経由してスイッチ間で交換されて、隣接スイッチが識別されるほか、
ポートグループの能力の学習とローカルスイッチの能力の比較が行われ、
近隣デバイスIDと近隣グループ機能が同一のポートを1つのチャネルにグループ化する。
PAgPでは、同じスタティックVLANまたはトランキングが
設定されたポートだけで、EtherChannelを形成する。
また、バンドルされたポートの1つが変更されると、EtherChannelのパラメータを
動的に変更する。
【LACP】
(config-if)# channe-group【channel-groupナンバー】 mode { auto [ non-silent ] | desirable [ non-silent ] | on | active | passive }